知って得する上級テクニック

① 手形と現金どちらがお得?
もちろん、みなさんは、「支払期日が遅い手形より現金を受け取る方が得に決まっている。」と思っていしゃるに違いない。ところが、先日とある営業の方から興味深いお話を伺った。その方が、集金に行ったところ、「現金で支払うから5%値引きしてください。」と言われ、営業の方も手形をもらって割引くより、5%程度値引きであれば、現金でもらう方が良いと判断し、現金で集金してきたそうだ。
しかし、よく考えてみると 代金内容 1,000万円 に対し
  • ■現金の場合
    1,000万円 ― 50万円 = 950万円
  • ■手形割引(90日期日、割引料5%)の場合
    1,000万円 ―(1,000万円×5%×90÷365) = 約988万円
手形割引後の手取りの方が現金より約38万円多いこととなる。 後日、この営業の方は、経理部長に厳しく叱責されたらしい。
② 目先の金利差
1週間後に現金が必要なお客様が、ある手形割引業者に「本日中に手形割引 されるのであれば、金利を0.5%安くします。」と言われ、金利が安く なるのであれば早めに割引をしておいた方が得だと思い、手形割引をされたと いうお話を聞いた。 果たして本当でしょうか。手形割引料をちょっと計算してみましょう。
  • ■本日割引した場合の手形割引料 (支払期日までの日数67日)
    3,000,000円 x 8.0% x 67日 ÷ 365日 = 44,055円
  • ■1週間後に割引した場合の手形割引料(支払期日までの日数60日)
    3,000,000円 x 8.5% x 60日 ÷ 365日 = 41,918円
差額 +2,137円を多く支払ったことになる。 皆さんは、手形割引による支払利息が、金利 × 期日で計算されることを 良くご存知だと思います。 手形割引業の営業マンが、自分のノルマ達成の為に月末などによくこの様 な営業手法を使っているという事を聞きます。  皆様もあわてず、ゆっくり 計算をした上で手形割引をされると良いと思います。
③ 本当の銀行金利
あるお客様が銀行に1000万円の定期預金(利息0.1%)を担保に3000万円の割引枠(支払利息3%)を持っておりました。 しかし、最近は売上が少なく1500万円の手形割引残高がやっとです。 ここで実質金利を計算してみましょう。
  • 表面金利
    支払利息   1500万円 ×3%  =45万円
    受取利息   1000万円 ×0.1%  =1万円
  • 実質金利 (45万円―1万円) ÷ (1500万円―1000万円)=8.8%
実質的には500万円の手形割引に8.8%の支払利息を支払っていたことになります。 確かに、銀行とのお付合いは対外信用上も大切なものです。しかし、担保による割引枠が大幅に余ったり、資金繰りが厳しくなって来たら預金を解約するのも一考です。 優良な手形割引業者で手形割引をされる場合は、表面金利 = 実質金利と大変明瞭です。
④ 銀行との使い分け
あるお客様が銀行枠にて手形割引をしていました。手形の銘柄は取引先3社が振出した手形でした。 たまたま銀行枠をオーバーしたので、手形割引業者に問い合わせをすると年利10%と言われまし た。念の為、他の2社が振出した手形も調べてもらうと、年利4%と年利7%でした。年利4%は 上場企業の子会社の手形でした。
銀行は持込んだ手形を全て同じ金利で割引しますが、手形割引業者は銘柄によって金利が違います。 つまり、上手く割引料を節約する方法は、割引業者にて金利の高い銘柄となる手形を銀行で割引する。 枠をオーバーした(オーバーしそうな)時は、良い銘柄(金利が安い)を割引業者にて割引する。
このようにコストダウンを図っていらっしゃる方は少なからずいらっしゃいます。